以前に代表の武永昭光が日経MJ新聞に執筆した『[繁盛する店づくり]顧客に支持される品ぞろえと店内に呼び込む仕掛けづくりを』を紹介します。繁盛店づくりに必須で重要なこと、それはマーチャンダイジングの精度を上げ、VMDを確立することです。
バランスを見極める
小売店は、売れる商品を仕入れ、多くのお客様に入店してもらい、商品をたくさん見てもらい、心のこもったサービスを提供できれば繁盛します。ここでは、「お客様に支持される品揃えの構築」と「商品をお客様に伝える売場作り」に絞って述べます。
お店で売る商品の価格帯を決める
まずターゲットのお客様に購入してもらえる品揃えの組み立て方について、身近な例で解説します。皆さんがパン屋さんをはじめることにしました。どのようなパンを何種類、いくらで販売するかを決めなければなりません。
フランスパンと言われるバゲットを例にします。皆さんはバゲットの価格がいくら位から高いと感じますか?また、安いと感じるのはいくら位でしょう。
バゲットの価格を「高い・やや高い・ふつう・やや安い・安い」の5つに分けてみます。例えば、300円以上を「高い」、250円~290円を「やや高い」、210円~240円を「ふつう」、180円~200円を「やや安い」、170円以下を「安い」とします。このことを「グレード別プライスゾーンを決める」と言います。
ターゲットを決めて価格を決める
「ふつう」の価格の商品を購入する人たちをメインターゲットと決めたら、バゲットの価格は210円~240円にしなければなりません。
クロワッサンは、180円以上を「高い」、140円~170円を「やや高い」、110円~130円を「ふつう」、90円~100円を「やや安い」、80円以下を「安い」とした場合、クロワッサンの価格は110円~130円にします。
このように、商品一つ一つのグレード別プライスゾーンを決めるのですが、店主の感性でバゲット280円、クロワッサン100円などと決めることは避けます。
例えばAさんはバゲットの価格は260円、クロワッサンは160円が丁度良いと感じます。Bさんはバゲット180円、クロワッサン100円が丁度良いと感じます。お店の価格がバゲット280円、クロワッサン100円の場合、Aさんはバゲットを買いますが、クロワッサンは安すぎると感じ、買いません。Bさんはクロワッサンを買いますが、バゲットを高すぎると感じ、買いません。AさんもBさんも品揃えに不満を感じます。
なので、例えばターゲットをAさんに絞り、クロワッサンの価格もバゲットと同様に、「やや高い」のプライスゾーンに決めます。
ターゲットと品揃えの整合性を図るのがマーチャンダイジング
以上は「価格」という切り口でバランスを決めた例ですが、様々な切り口でバランスを決め、ターゲットと品揃えの整合性を図ります。このことをマーチャンダイジング、略してMDと言います。
魅力を伝える工夫とは
次にやるべきことは、品揃えをお客様に伝えることです。売り場外(店外)の人に品揃えを伝え、その商品に魅力を感じれば入店してくれます。立ち寄ってもらうために重要なこととして、2つ挙げます。「伝える」と「きれいな印象を与える」です。
伝えるためには発信する情報を絞り込む
伝えるために重要なことは「絞り込み」です。お客様が目を向けるのは一瞬です。その一瞬をとらえて伝えることができなければ伝わらないと考え、発信する情報は欲張らずに絞ります。
通路を歩いているお客様が一瞬目を向けてくれました。その時、目に入った品揃えが伝わるかどうかです。もし伝われば、お客様が取る行動は、寄ってみようと思うか、興味がないから立ち去るかのどちらかです。ちょっと寄ってみようと思うのは伝わったからです。伝わらなければ、立ち寄りようがありません。一瞬で伝えるために、発信する情報を絞ります。
きれいな印象を与える
もう1点、立ち寄ってもらうために重要なことは、きれいな印象を与えることです。伝わったときの印象も大事です。印象が悪ければ、立ち寄ろうとは思いません。お客様が嫌いなお店を一言で言うと、「ごちゃごちゃして汚いお店」です。「キレイ」と思われるためにも情報の絞り込みは必要です。ディスプレーの色を絞って統一すると、伝達度合いが高まり、印象も良くなります。
テーマを明確に
[絞り込み]=[テーマの設定]
伝えるために情報を絞り込むことが大事と言いました。「絞り込み」とはイコール「テーマの設定」です。
例えば、ある婦人服店で、流行の柄である「花柄」をお客様に伝えたいと決めました。花柄は流行なので色々なアイテムで出てくる柄です。その中でカットソーとシャツに絞りました。更にパンツとのコーディネートをおすすめすることにしました。
第1テーマは「花柄」、第2テーマは「カットソー・シャツ」、第3テーマは「パンツとのコーディネート」になります。
テーマは商品とポップで伝える
テーマが決まったら、次にそれを商品とポップでお客様に伝えます。つまり、「花柄のカットソーはいかがですか?」、「花柄のシャツはいかがですか?」という情報を商品とポップで伝えます。
このようにテーマを絞り込んで発信しなければ、売り場(店舗)全体で発信している「婦人服はいかがですか?」というぼんやりとした情報しか伝わりません。
テーマを作り、それを商品で見せて、ポップで知らせることができれば、売り上げにつなげることができるでしょう。
マーチャンダイジングの精度を上げ、VMDを確立することが繁盛店づくりの王道だと思います。
おしらせ
MDプランの基本を分かりやすく解説した電子書籍と品揃えの伝え方について詳しく解説した電子書籍があります。
MDプランの基本が分かる電子書籍
MDプランの基本を分かりやすく解説した電子書籍は『MDプランの基準を変えて業績を伸ばす 業績不振を打開する特効薬はMD』(税込500円)です。
ここではパンを例にして述べましたが、本書はターゲットの決め方、そしてターゲットのニーズにどうこたえていくのか、その考え方を分かりやすく具体的に解説しています。そして現在の品揃えをどのように改善していくのかについても具体的な数値を使って説明しています。仕入れを担当するバイヤーが本来作成しなければならないMDプランのサンプルも紹介しています。
アマゾンでの購入はこちらをクリック
⇒ 【MDプランの基準を変えて業績を伸ばす 業績不振を打開する特効薬はMD】
品揃えの伝え方が分かる電子書籍
売り上げが上がる品揃えの伝え方を詳しく解説した電子書籍は『売り上げが伸びるお店の作り方 「伝える」ことが繁盛店を作る』(税込500円)です。
小売店はターゲットを引きつけ、リピーターを増やすことができれば、売り上げは伸びます。では、そのためにどうしたら良いのでしょう。その問いの答えが本書にあります。
売り上げを上げるために欠かせない”品揃え情報の伝え方””テーマの設定の仕方””好かれるお店の作り方””売れるディスプレーの作り方””売れるPOPの作り方”等について分かりやすく解説しました。
そして具体的にイメージしやすいように写真を92点、イラストを28点、理解を深めるためのビフォーアフターの事例も23点載せました。本書は売れる店作りの習得に最適な1冊です。
アマゾンでの購入はこちらをクリック
⇒ 【売り上げが伸びるお店の作り方 「伝える」ことが繁盛店を作る】
マーチャンダイジング本でおすすめしたい実践的な電子書籍
ショーアンドテルの電子書籍MDシリーズは他にも多数あります。実践的なマーチャンダイジングのテキストを下記のページで紹介しています。
『レディースアパレルのマーチャンダイジングをKindle 本で学ぶ』
『婦人服飾雑貨のマーチャンダイジングをKindle 本で学ぶ』