成長した麻紀【店長兼務でVMDアドバイザーに】

VMD

繊研新聞に連載された『続・ショップルクリア成長物語』(ショーアンドテル松井柚子作・武永昭光監修)をご紹介します。この物語は新入社員の頃ディスプレーが苦手だった麻紀が瞳店長の指導により、店長兼務でVMDアドバイザーになるまでに成長します。最終話で麻紀のVMDアドバイザーとしての仕事ぶりをご覧ください。

麻紀が店長とVMDアドバイザー兼任

麻紀は来月から、ルクリア南城百貨店の店長と兼任で、新たな役職を与えられることになった。かつての上司で今はスーパーバイザーとして各店舗を統括している瞳から、VMDアドバイザーに任命されたのだ。瞳はVMDだけでなく新人教育や店長の育成なども担当しているのだが、順調に増えていく店舗数に、一人では手が回らなくなってきていた。

瞳はVMDの知識が豊富だったので店長時代にはそれを発揮していたが、すでに瞳のノウハウはルクリア全体に浸透しており、今や南城百貨店で大谷マネージャーに鍛えられた麻紀の方がVMD担当にふさわしいと感じているのだ。

「麻紀、次の店長ミーティングから、VMDに関しては麻紀にお願いしたいと思っているの。店長の業務も忙しいと思うけど、副店長の美穂も力がついてきたでしょう?あの子を育てる意味でも、店のことはある程度美穂に任せて、麻紀にはVMDアドバイザーとして皆に助言してほしいんだよね。テーマに優先順位を付け、それに沿った売り場作りはまだまだ発展途上と思うわ」

麻紀の的確なダメ出しが炸裂する

トレンチコートの丈違いを見せたいのね?

こうして、各店舗の店長が集まるミーティングの日がやって来た。各店舗は事前に売場の様子を何枚も写真に収めており、それを見ながら改善点を探る。
まず、大型ショッピングモールに出店している店舗の写真がモニターに映し出された。それを見ながら麻紀は話し始めた。

「中田店長、このときのVPのメインカラーはグレーですね。広い範囲でグレーが表に出ていてきれいですね。ところで、売りたい商品は何ですか?」
「売りたい商品はトレンチコートです」
売りたいものを明確にすることは、南城百貨店のルクリアから全店に普及していた。

「ではトレンチコートの何をアピールしたいのですか?」麻紀は続けて聞く。
「型数が多く、ショート丈、膝丈、膝下丈というように丈の長さが3タイプ選べるということです。それから、ワンピースとコーディネートしやすい丈も見せたいと思いました」

「なるほど。それでコートとワンピースをVPで見せているのですね。丈のバリエーションはどこで伝えていますか?私もよく南城のマネージャーに指摘されるのですが、美しくしてお客様の視線を引き付けることができても、売りたい商品やテーマが伝わらなければ売り上げには結びつかないんですよね」

中田店長の店舗では、前面のVP2体で、モノトーンの柄物ワンピースとグレーのコートをコーディネートしていた。

コートの丈のバリエーションが伝わらない

麻紀は解説した。
「先ほどのお話しだと、第1テーマがアイテムでトレンチコートです。第2テーマがコートの丈のバリエーションです。そして第3テーマがワンピースとコーディネートしやすい丈ということになります。でも、中田店長が作られたこのVPではコートの丈のバリエーションはアピールできていないです」

麻紀はVPの横のラックを指して聞いた。「横のラックにはVPで見せたコートとワンピースの色違いが掛かっていますね。コートの丈のバリエーションはどこで伝えていますか?」

「それは…」中田店長は口ごもってしまった。
「ワンピースとのコーディネートはVPで見せるしかないので、丈のバリエーションは横のラックのIPで伝えるしかないと思います」と麻紀。

瞳は麻紀の話を聞き、感心していた。はじめは中田店長や他の店長たちも、難しいと感じたのか顔をしかめていたが、だんだん興味津々で熱心に耳を傾けるようになっていた。

POP、VP、IPでお客に伝える

POP作成のために情報を整理

麻紀は中田店長に尋ねた。
「ところで、中田店長のお店があるショッピングモールは、POPを付けたらダメというルールはありますか?」
「POPはだめという規定はないはずです」
「それではせっかく商品のことをアピールできるのですから、POPを設置してみたらいいですよ」

麻紀は、大谷マネージャーから教わったPOPの作り方の概要や、設置した後のメリットなどを話した。

「皆さんも一緒に考えてみましょう。まず今回売りたい商品である、今シーズン扱うトレンチコートに関する情報を確認します」そう言いながらホワイトボードに情報を書きすすめた。

トレンチコートは毎年人気があり、大きくデザインは変わらないが、丈の長さと機能に新しさが加わった。
丈の長さはショート丈、膝丈、膝下丈の3つを揃えた。
表地にはテフロン加工を施し、撥水性と防汚性を強化。
汚れが目立たないので安心して着られる。
表地は綿100%の2本の糸をより合わせた糸で、太さを均一にした双糸使いにこだわっている。
裏にはタータンチェックのライナーが付いており、取り外しが可能。
ライナーはポリエステル素材で暖かい。
ライナーを外せばスプリングコートとして春にも使える。
価格は税抜39,000円、49,000円、59,000円。

麻紀は皆と話しながら、これらの情報の中から伝えたいことを整理した。(表1)

この表を下に、メイン通路を歩くお客様にまず何を伝えるか、タイトルと記載文を考える。メイン通路を歩きながら少し離れた距離から目にした人には、トレンチコートという品名と丈のバリエーション、そしてワンピースとコーディネートしやすい丈のコートもあることを知らせようということになった。(表2)

次に、興味を持って立ち止まってくれた人に異なる情報を伝える。立ち止まった人に伝えたいことは、撥水性と防汚性を強化して汚れが目立たないこととライナー付きであること、そして価格にした。

ここまで作ってみて中田店長も他の店長たちも、POPの作り方の理解が深まったようだ。

丈違いを伝える解決法はVPのボディを3体に増やすこと

一段落したところで、麻紀は思いついた。
「丈の違いを瞬時に伝えたかったら、ワンピースに合わせやすい丈ということをアピールするのは次の機会にして、ボディ3体のVPで3つの丈違いを見せるという手もありますね。ワンピースとスカートは丈によってコートとの相性があるから、3体とも同じパンツにして丈の違いを際立たせてみてもいいかもしれません」

瞳が答える。
「ボディ3体を置くスペースがあるのなら、それもいいわね。VPは一番見てもらえるところだから、そこで見せるのが一番伝わるからね」

瞳は、麻紀や、麻紀に教わっている真剣な皆の様子を見て感慨深げだ。
「あの子が新人の頃は一人じゃ何もできなくて、ボディに着せる服もちぐはぐだったのに、今では一人前に店づくりができるようになるなんて…」

そう思いながら、ルクリアはこれからも進化を続け、お客様に支持されるお店になっていくだろうと確信した。

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