マーチャンダイジングとは【品揃えを需要に近づける一連の施策】

マーチャンダイジング

マーチャンダイジングとは、ターゲットを設定して大・中・小分類を決め、プライスを決定し、分類や型数、プライスラインなどの様々なバランスを決めることです。そして、売り上げや効率などを確認して修正を行い、品揃えを需要に近づけていきます。このような一連の施策をマーチャンダイジングといいます。

小売のマーチャンダイジングとは

小売のマーチャンダイジングは、1.ターゲットの設定(対象顧客の設定・ポジショニングの設定)、2.大・中・小分類の決定(分類基準と分類名の明確化)、3.プライスの決定(プライスゾーンとプライスラインの決定)、4.バランスの決定(大・中・小分類やアイテム別型数、プライスライン別型数など様々な切り口でのバランスの決定)で構成されます。

1.ターゲットの設定
1)対象顧客の設定
2)ポジショニングの設定

2.大・中・小分類の決定
1)分類基準と分類を整理
2)分類基準に優先順位をつける

3.プライスの決定
1)プライスゾーンの決定
2)プライスラインの決定

4.バランスの決定
1)エイジ・グレード・テーストのバランス
2)大・中・小分類のバランス
3)大(中・小)分類ごとの型数
4)大(中・小)分類別関心度別型数
5)大(中・小)分類別プライスライン別型数
6)効率を確認してバランスを修正

マーチャンダイジングその1:ターゲットの設定

1.対象顧客の設定

対象顧客は一般的には年齢(エイジ)と所得(グレード)で設定しますが、同じ年齢でも人生のどの段階にいるか(ライフステージ)、あるいはその人の意識や感性の違いで暮らし方(ライフスタイル)が異なると必要な商品が違ってきます。

グレードはプレステージ、ベター(アッパー)、モデレート(ボリューム)、バジェット(サービス)などに分けられ、メインを何処にするか、そしてそのシェアも決めます。ライフステージやライフスタイルも設定します。

2.ポジショニングの設定

売り場のポジショニングとは、エイジとグレードでのポジショニング、エイジとオケージョン、テーストとオケージョンなど色々あります。例えばエイジではヤング70%、ヤングアダルト30%、グレードはモデレート80%、ベター20%、テーストはアップトゥデイト100%、オケージョンはカジュアル100%などとします。これは2つの切り口をマトリックスで表すと位置づけが一目で分かります。

この様々な切り口でのバランスを決めることにより、自分が担当する売り場の位置づけが明確になります。

※用語説明

グレード
価格の高い商品のグループ、安い商品のグループ、中くらいの価格の商品のグループなど価格帯をいくつかに分けることをグレード別分類といいます。名称は企業により様々です。高い方からプレステージ(ベスト)、ベター(アッパー)、モデレート(ボリューム)、バジェット(チープ)などです。
テースト(感度・嗜好)
同じ年齢、同じライフステージでも、生活情報やファッション情報に対する個人的な感度の違いによって顧客の求める商品にも違いが出てきます。その違いをグループとしてとらえるためにテースト別分類が登場しました。一般的には次の3つに分類されます。

アドバンス:ファッションに敏感で斬新さを好む人たち、あるいはそういう人たちが求める商品。
アップトゥデイト:つねに今日的な感覚のファッションを求めて、暮らしに新しさを取り入れる人たち、あるいはそういう人たちが求める商品。
コンサバティブ:流行にあまり左右されず、安定したファッションを求める人たち、あるいはそういう人たちが求める商品。

テーストという用語はこのように使用される場合もあり、また、ファッショントレンドの用語のプレッピー、フォークロア、ミニマル、マニッシュなどの総称としても使用されます。そういう理由から「アドバンス・アップトゥデイト・コンサバティブ」に分類する際の分類基準として、「ファッションマインド」という用語を使用する企業もあります。つまり、「ファッションマインド」で分類すると、「アップトゥデイト」と「コンサバティブ」になる、などと使います。

マーチャンダイジングその2:大・中・小分類の決定

品揃えをプランする、つまりマーチャンダイジングを進めるとき、そして売上を分析するために大・中・小分類を決めます。マーチャンダイジング上の分類を商品分類、売り場の商品をお客様が分かりやすく選びやすいようにする分類を展開分類といいます。ただ、商品そのものの分類も商品分類というので、品揃えをプランするための分類をMD商品分類と呼ぶことにします。

品揃えのプランや商品動向の分析は様々な単位で行うことが必要です。単品の動向も必要ですが、それが属するグループの売れ行き傾向をデータで把握する必要があります。さらにもっと大きな単位での傾向も押さえておかなければなりません。そのために大・中・小分類を決めます。

MD商品分類も展開分類も大・中・小分類を決めるときには分類基準に優先順位をつけることで決めていきます。次に分類基準と分類の関係性をみていきます。

1.分類基準と分類

商品の売れ行きを様々な単位で確認するために大・中・小分類を決めます。まず大きなくくりの動向を確認するためにお店全体をいくつかに分類します。それが大分類、或いは第1分類といわれます。そうして分類した大分類の中の動向を更に細かくみる必要があります。大分類の動向だけでは不十分なはずです。大分類をいくつかに分けたのが中分類、或いは第2分類になります。中分類を更に分類したのが小分類、或いは第3分類です。

分類を決めるには分類基準と分類名の関係をまず理解することが必要です。分類基準とは分類する際のさまざまな切り口のことです。分類基準にはエイジ、グレード、テースト、オケージョン、アイテム、デザイン、素材、色などがあります。

分類基準「エイジ」で分類すると、分類名は例えば「ヤング」「アダルト」「シルバー」などとなります。

2.対象別分類・用途別分類・関心度別分類

「使う人は誰か」、その「誰か」を分類したのが対象別分類です。「いつどこでどんな場合にどのように使われるか」という発想の分類は用途別分類です。「顧客がその商品の何に関心を持つか」というのが関心度別分類です。

対象別分類の分類基準には、性、エイジ、テースト、グレードなど、用途別分類の分類基準には、時間、場所、オケージョン、機能など、関心度別分類の分類基準には、アイテム、ブランド、デザイン、素材、色、サイズ、趣味などがあります。

3.分類基準の選択

婦人靴売場で考えられる分類基準に、「エイジ」「テイスト」「グレード」「オケージョン」「アイテム」「ブランド」があります。

エイジ別分類は「ヤング・アダルト」、テイスト別分類は「アップトゥデイト・コンサバティブ」、グレード別分類は「ベター・モデレート・バジェット」、オケージョン別分類は「カジュアル・タウン」、ブランド別分類は「Aブランド・Bブランド・・・・」、アイテム別分類は「パンプス・サンダル・ブーツ・スニーカー・コンフォート・ウォーキング」とします。

大・中・小分類は様々考えられますが、電子書籍MDシリーズ『婦人靴のマーチャンダイジング』(税込))では3つの商品分類を紹介しています。エイジを重視したA案、グレードを重視したB案、そしてアイテムを重視したC案の3つです。

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マーチャンダイジングその3:プライスを決める

商品の価格は様々です。高い商品もあれば安い商品もあります。価格の高い商品のグループ、安い商品のグループ、中くらいの価格の商品のグループなど価格帯をいくつかに分けることをグレード別分類といいます。これを決定することで、仕入れることのできる商品の価格帯は自然と決まってきます。

例えば婦人靴のグレード別分類を高い方から「プレステージ」「ベター」「モデレート」「バジェット」とします。当店はモデレート100%に決めました。パンプスのモデレートの価格帯を8000~18000円とします。この場合、当店が仕入れることのできるパンプスの価格は8000~18000円となります。

マーチャンダイジングその4:中身のバランスを決める

エイジ・グレード・テーストのバランスを決めます。エイジもグレードもテーストもターゲット設定の際に明確になっているはずですが、それを大、中、小分類や各アイテムのバランスに反映させます。ターゲットを設定し、品揃えにそれを反映させる、そうしなければ、何のためにターゲットを設定したか意味がなくなります。

商品分類の大、中、小分類がどのような中身でも、エイジ・グレード・テーストのバランスは必ず明確にして、アイテムのバランスもそれに沿っていなければなりません。

大・中・小分類のバランスも決めます。大・中・小分類が決まったらもちろん、それぞれのシェアを決める必要があります。例えば大分類は「A」「B」「C」になりました。売上予算は1000万円です。Aで500万円、Bで300万円、Cで200万円などとバランスを決めます。

分類ごとの売り上げ予算を決めたら、次はその中身を決めます。どんな内容でその予算を稼ぐのかを決めます。Aの500万円はパンプス200万円、サンダル150万円、コンフォート100万円、スニーカー50万円としました。更に型数も決めます。パンプス200万円は10型などと決めます。

マーチャンダイジングの科学と感性

以前、マーケティングは科学・マーチャンダイジングは感性、としばしば耳にしました。しかし、感性が大部分を占めると思われるマーチャンダイジングも科学が重要であり、イコールディスプレーと解釈されることの多いVMDも大部分を科学が占めます。

プライスゾーンや中心プライスの設定はメインターゲットの収入に合わせて決まることなので科学です。商品分類の決定は100%科学です。MDプランでのバランスの決定はデータに基づいて決める科学の部分と勘で決める感性の部分があります。それからお店(売り場)にとって必要なデータの中身の決定は100%科学です。MDプランの中身が決まると、自動的に必要なデータが決まってきます。

1.商品分類の決定は科学

商品分類は商品動向を分析するためのもの、MDプランを立てるためのもので、感性を発揮する場面などなく、分類の決定は科学といえます。MDプランの中身を決める際には科学と感性の両方が必要になりますが、商品分類の大、中、小分類を決める時は100%科学です。。

2.大・中・小分類のバランスの決定は科学と感性

大・中・小分類のバランスの決定は科学と感性です。データを下にバランスをプランするのは科学、それに自分なりの勘を働かせるのは感性です。最終的には科学と感性の両方で決定します。

大(中・小)分類ごとの型数の決定も科学と感性の両面があります。これもデータを参考にして今後のヨミを入れて最終の型数を決めます。データを参考にするのは科学で個人的なヨミは感性です。

3.エイジ・グレード・テーストのバランスの決定は科学

エイジ・グレード・テーストのバランスの決定は科学です。ターゲット設定の際にエイジ・グレード・テーストそれぞれのメインターゲットが明確になっていれば、品揃え上のエイジのバランスもグレードのバランスもテーストのバランスも自動的に決まります。

4.プライスゾーンの決定は科学

プライスゾーンの決定は科学です。グレードのバランスの決定は科学ですから、それに準じて決まるプライスゾーンの決定も科学です。

ターゲットの収入に合わせて、まずグレードのバランスを決めます。つまりベター30%、モデレート70%などとバランスを決定します。これはターゲットの設定により、自然に決まることです。個人の感性で勝手に変更などできないことです。

プライスゾーンについては競合店の状況にも配慮することが必要ですが、このグレードのバランスに合わせて決まることですから、感性の入り込む余地などなく、プライスゾーンの決定は科学といえます。

マーケティングは科学、マーチャンダイジングは感性と言われたことがあると述べました。しかし、このように見てくると、プライスゾーンとプライスラインの決定、分類の決定、データの中身の決定は科学です。中身のバランスを決めることは科学と感性の両方がありますが、他の売り場と整合性を図ることは科学です。マーチャンダイジングも科学が重要ということが分かります。

※一部を代表の武永昭光著『伊勢丹に学ぶ「売れる!」売り場作り』から引用しました。

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マーチャンダイジングの科学を学べる本

冒頭で、小売のマーチャンダイジングとは、「1.ターゲットの設定、2.大・中・小分類の決定、3.プライスの決定、4.バランスの決定」と述べましたが、このプランを作成することは容易ではありません。

そこで紹介したいのが、科学的なマーチャンダイジングプランの立て方が学べ、マーチャンダイジングプランの一例を確認できる書籍です。ショーアンドテルのKindle本MDシリーズで、マーチャンダイジングを科学的に変革できる、他に例を見ないテキストと自負しています。個人の感性に頼る必要のない科学的なMDに変換する手助けをします。

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